頑張れっ 高校生!
         〜789女子高生シリーズ

         *YUN様砂幻様のところで連載されておいでの
          789女子高生設定をお借りしました。
 
 


ずんと早い時刻のとある境から、ふっと空の藍青が白に変わる。
太陽の高度というか角度の関係なのだろうが、
陽が昇るよりも随分前から、
白夜ってこんな感じかなと思わせるような明るさが満ち。
そんなこんなに刺激されるか、
朝も早よから しゃんしゃんしゃんと蝉たちも鳴き始めて、
夏の朝が幕を開ける。
八月も間近くなると、
スポーツに打ち込む高校生たちの夏の祭典、高校総体が始まるとあって、
清々しい緊張や じっとしていられぬワクワクが高まって
もうもう しょうがないことだろし、

 「整列ーっ!」

代表に選ばれた選手たちだけじゃあなく、
それを応援する顔触れもまた
ややもすればワクワクと、現地への遠征に赴くこととなるのが習い。
観光バス級の大きめの、フロントグラスに何とか高校応援団の皆様とあったので、
やはりインターハイ関係なのだろう
制服やトレーニングウェア姿の一団が乗り込むところを、
駅に間近いロータリー型の駐車場で見かけ。
あらまあと何となく微笑ましくなったようで、

 「ウチも 部こそありませんが、
  有志の皆様でチーム組んでおられますものね。」

何たって種目によっては毎年出場するよな強豪校だけに、
部員の後輩たちのみならず、
生徒会執行部関係や、どうかすると卒業なされたOGの方まで、
素晴らしい差し入れつきで応援くださるもが常となっており、

 「ただ、開催地があんまり会場が遠いときは大変ですが。」
 「それを言ったら、どこの学校だって必ず貧乏くじは引くものですよ。」

本州の真ん中に住んでいる身には何処で開催となっても変わらぬが、
南の人には北の地が、北の人には南の地が開催地となった日にゃ、
それは遠くて移動に時間も費用も掛かるし、
気候も水も違って そりゃあ大変に違いない。

 「高校野球が開催される甲子園でも、
  応援の人たちが自前のマイクロバス使って
  1日掛かりで駆けつけにゃあならない話とか聞きますしね。」

補助金とか出ないのかな、
いっそ近畿圏内の余裕のある学校は、
校舎やクラブハウスや関連施設を宿舎として提供するとか。
だよね、こういう格差はいけないと思う、と。
同じ世代の顔触れとは思えない次元から見ての
なかなかうがった見解を交わしておいでのお嬢さんたち。
金髪やら茶褐色やらと明るい髪色をしておいでだが、
決して今時のお洒落からのそれじゃあないことがようよう見て取れる、
それぞれの髪質の素晴らしさといい、
何より、凛と冴えたものをそれぞれにお持ちの、
存在感が半端ではない美少女たちを、

 「…あ、あの子。」
 「ほら、バレエの…」
 「友達かな、隣りの子たち。」
 「モデルとかやってるんじゃないの?」
 「え? ◇◇女学園の子たちでしょ。」
 「そうだったら それはないない。」
 「だよね、お嬢様じゃん。」

遠目に見かけたここいらの常連高校生たちが、
そんなこんなと こそこそ噂するほどの有名人。
言わずと知れた 某女学園の三華様がたにとっても、
夏のインターハイは決して他人ごとではない催しで。

 「今年はご近所だから応援に行けますね。」
 「……。(頷、頷)」

白百合様こと七郎次が
それこそ毎年のように(笑)
剣道の部での都代表として出場を果たすので、
出来れば声援を直接届けたい後の二人だが、
いかんせん、そちらのお二方も結構忙しい頃合い。
紅ばら様こと久蔵さんはバレエの夏公演があるので、
全国公演だったりした日には ツアー中だったりするし、
ひなげし様こと平八も、
その才媛ぶりがしっかと広まっていてのこと、
ご近所の工学系の大学や研究所から
“助っ人に来て来て”というお誘いが雨あられと降ってくる身。
なので、あまりに遠い地での開催だと
残念ながら出向くまでは無理となっていたのだが、
今年の開催地は
東京・神奈川・千葉・山梨という南関東だそうで。

 「ソフトテニスにも出場なさる人がいるのでしょう?」
 「はいなvv」

なんでひなげしさんに訊く七郎次なのかと言えば、

 「例のスモーク発生装置を、応援席で使ってねとお貸ししましたよvv」

ああ、そういやそんなツールもあったなぁ。(笑)

 「あれってとっても涼しいですものね。」
 「……vv(頷)」

先日も紅ばらさんチのお庭で、
ガールズバンドの後輩さんたちや久蔵さんの妹分の二人なぞを呼んで、
お茶会ならぬ、女子会もどきの
お好み焼き&ピザパーティーをにぎやかに催したのだが。
そのおりにも大活躍したのが、涼しい霧がふんわりもくもく発生する、
ひなげしさん謹製のスモーク発生装置で。

 「ミストタイプの方が即効性ありそうですが、
  あれだと髪の張りがなくなったりすんですよね。」

いかにもお年頃の娘さんらしいネックを考慮した逸品で、
しかも、スモークなのに威力は抜群、
稼働にかかる電力も省エネ&ソーラーパワー仕様と来て。

 「応援も頑張れますね。」

効果絶大だったもんねと
白百合さんや紅ばらさんが微笑めば、

 「他の競技の夏大会に出る部からも打診されてます。」

えへへぇと、平八もまんざらでもなさそうに笑う。

 「で? 剣道の会場は何処なんです?」
 「えっと確か箱根の小田原だったはず。」

テーブルの上へ木洩れ陽が躍る、
通り沿いのカフェのテラス席にて、
黒や緑のヤシの葉のシルエットが小粋にデザインされた
ポタニカル柄のノースリブラウスや、
ちょっぴり大胆なビスチェに透け感のある紗のカットソーを重ねたり、
ポートネックになった襟元から真白きデコルテがチラ見えして悩ましい、
そんなこんなと、それぞれに涼しそうないで立ちの美少女らが
アイスコーヒーやフレッシュスムージーのカップを避けて
テーブルの上へ広げたのが、
タウン誌ではなく学校で使っている地図帳というのが何とも微笑ましい。

 「ここかぁ。」

やっぱりそう遠くはないですね、
でも 何なら箱根で一泊という手もありますよね、なんて。
関東地方の地図のうえ、
会場を白い指先でつついてから、
その周辺へ二本指でつくった人型をとことこと歩き回らせつつ、
早くも“その後”の相談をし始めるところは今時かも。(苦笑)
今度は情報週刊誌を取り出してのお喋りに入るかと思いきや、

 「小田原と言えば?」

訊いたのが平八ならば、

 「かまぼこ」
 「ちょうちん」

あとの二人が応じたのがそんなお返事で。

 「せめて小田原城とか、せめて小田原評定とかで出ませんかね。」

思い出したくもないですが
先日の期末考査の日本史は戦国後期だったのにと、
ひなげしさんが苦笑を見せたが、

 「だって私たち、実在の戦国武将の転生びとでなし。(笑)」
 「……。(頷)」


ちなみに“小田原評定”とは
豊臣秀吉が天下統一全国制覇の最後に、
後北条家が護る小田原城を取り囲んだ際、
城の中で、開城か決戦かで延々揉めたことを指して、
長引いてなかなか決まらない会議や相談のことをそう言うようになったとか。

 「歴女でもないのに、詳しくなくてもしょうがないですよ。」
 「それはそれで順番が微妙な発言ですよ、シチさんたら。」

確かに、前世の記憶も持っている彼女らで、
その“前世”は
刀を振るって生きる道を切り開くような
そんな世界であり 立ち位置にあった身だったので、
戦いにおける侍の心得的なものには通じているが、
今いる世界の過去の歴史には接点がないので、とんと全く通じてもなく。

 「もしそうだったら、
  シチさんは真田幸村ですかね。久蔵殿は伊達政宗?」
 「それってゲーム版ですか?(笑)」

おいおいというよな会話が始まってしまい、
じゃあ兵庫は小十郎だろうかと、久蔵さんが困っておれば、

 「ヘイさんは…?」
 「工部系の武将なんていませんよ、
  ああでも、
  ゴロさんが前田利家だったら“まつ”でもいいかなとかvv」

この辺りはお約束だが、

 「勘兵衛様は…」
 「そりゃやっぱり黒田官兵衛?(笑)」

ビジュアルは岡田くんよりゲーム版の方でしょうね。


  ともあれ、
  今年も酷暑だけど、頑張れ高校生っ!





    〜Fine〜  14.07.30.


  *いえね、今年も高校総体の季節だと思いまして。
   今年は南関東なので、
   ウチの高校生たちの場合、
   応援し隊の皆様が 大きに助かるだろうなと。(笑)

   あと、これはまったくの私ごとですが、
   最近楽しく観ているアニメの“はいきゅー”、
   鉄壁ブロック伊達工の監督の中の人が 三木さんだったんですね。
   なかなか凛々しく檄を飛ばす 久蔵殿が聞けて楽しゅうてvv(違)
   それでつい、応援団参加してたら面白かろうと思ったんですが、
   そっちのネタは書けてない爲體(ていたらく)です。
   だってヒサコ様、寡黙なんだもの。
   ヘイさんは団旗振るうチアフラッグの名手ですから
   相当に頑張ってくれそうですが、
   剣道の応援てそこまでやって良かったのかなぁ?(え〜と?)

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